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「勝負から降りることは自由だが降りたところで競争がなくなるわけではない」

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2016年01月25日

「勝負から降りることは自由だが降りたところで競争がなくなるわけではない」

これは、富士フィルムホールディングス会長の古森重隆氏の言葉である。
(日経ビジネスオンライン2014年8月12日(火)今日の名言より)

好むと好まざるとにかかわらず、社会に出れば絶え間なく競争が続く。
会社に入れば、同期との競争や他社との競争が待ち受ける。
グローバル化が進行している今は海外との激しい競争も日常茶飯事だ。
中国やインドなど新興国の若者は熾烈な競争社会の中を生きている。
彼らの目の色は違う。という意味での言葉だ。

デジタルカメラの急速な普及に伴い、それまでの主力事業であった写真フィルムの
需要が激減する中で、抜本的な構造改革を断行され、医療事業・機能性化粧品事業などに
事業をシフトすることで、富士フィルムを立て直した方だけに、その言葉には重みがある。

経営者である皆様も同じ気持ちではないだろうか。
ただ、社員の中にはこれらのプレッシャーの中で働いていくのがつらいと感じる人もいる。
経営者として強い組織を作っていく上で、どのような要素が必要だろうか。

「グローバル&自立型人材育成」に携わる中、Resilience(レジリエンス)という言葉を耳にすることがここ数年増えてきている。
「逆境から立ち直る力」であり、「精神的な回復力」や「心の復元力」といった意味を持つ言葉だ。

変化の激しい世の中で成果を出し続けられる人の特徴には、単なる強さだけではなく、
苦しい状況に追い込まれても挽回することができるタフさやしなやかさがあると言われている。

強いだけであれば、ポキッと折れてしまうことがあるが、
しなやかさがあれば曲がってもまた立ち上がることが出来る。
モチベーションが高い人、というのは常にポジティブである、
というよりも落ち込んでも回復する力が高いと言えるのかも知れない。

これからの働き方の提言書としてベストセラーの
「ワーク・シフト」で著名なロンドンビジネススクールの
リンダ・グラットン教授も、そのレジリエンスの重要性について語っている。
これからの時代を生きる人々にとって、どの国の人であろうと大切になると。

グラットン教授はレジリエンスには以下の3つの側面があると述べている

1.知的なレジリエンス
2.心のレジリエンス
3.人とのつながりに関するレジリエンス

(クーリエ・ジャポン2014年9月号より)

組織の観点から見ると、この3つのレジリエンスを伸ばせる会社は強い。

1.能力開発をして、伸ばすだけではなく、新たなアイデアを受け止め、
前向きに形にしようとすることで、一時的に仕事に行き詰った社員の復調を助ける

2.ワークライフマネジメントが可能となる、労働以外の時間をある程度確保して、
心の落ち込みから回復しやすくする

3.多様な人々とのネットワークを作れることで例えば一つの人間関係をベースに進めていた仕事が停滞したとしても、別の人間関係を通して、新たな活路を見出すことを可能にする。

このような組織とのことだ。

社員が、「やらされ感」、「やらねば」といった義務感で仕事をしていて職場にワクワク感がない、と感じた場合は社員のレジリエンスが低下しているのが原因の一つかもしれない。

経営者としては、勝負から降りる訳にはいかない中、社員のレジリエンスを高められる場をどう作るか、は経営者にとっても重要課題ではないだろうか。

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