前提として、グローバル人材育成に投資しているのは大手企業がほとんどであり、日本において「エリート層」に属する人材が対象である。従って、むしろ正確を期すために「なぜ日本のエリート層はグローバル人材になれないのか?」と言い換えたほうが、私がこれから述べる論点に合致している。
結論から述べよう。
理由は大きく分けると以下の3点である。
1 Why (なぜ自分がグローバル人材になるべきか、が腹落ちしていない)
2 What(グローバル人材の能力要素がわからない)
3 How(能力要素がわからないからその身に付け方、方法がわからない)
(尚、グローバル人材の能力要素はこちらのアセスメントもご参照頂きたい)
https://www.hrpro.co.jp/download_detail.php?ccd=00571&pno=9
こうした状況だから、そもそも自分自身のグローバル化に本気になっていないのである。
そして、ほとんどの企業がこの本質を無視してひたすら本気度の低い社員に英語レッスンを繰り返してきた。そしてその目標も、競合となる韓国企業よりも、200点も300点も低いTOEICの目標点数を掲げている状況だ。本気度が低いと、業務の多忙さを言い訳にしてなかなか取り組まなかったかり、または、目標点数を1点でも上回ると、もういいでしょ、となる。その結果、過去の投資へのリターンは惨憺たるものだった。
「ようやく本気になり始めたグローバル人材育成」
しかし、その状況にも変化の兆しが見えてきている。
昨今、日本本社から派遣された駐在員が現地法人でお荷物化する、国内で採用した外国人社員が数年でやめてしまう、などの課題が続出し始めている。危機感を持った経営者や人事部がようやく重い腰を上げ、先に挙げたWhy, What , How, これら3つの要素をすべて取り入れた人材育成プログラムを弊社と共同開発し成功を収めている。
私がその現場でつぶさに見てきたことは、各社の非グローバルだが国内トップ人材は、ある特殊な訓練を通して見事に世界で渡り合えるグローバル人材に生まれ変わるということだ。
そして、生まれ変わった人材はさらに上を目指す。
ただのグローバル人材ではなく、グローバルマネージャー、グローバルリーダーを目指していく。この流れが出来上がれば、当然若手のトップ層もそれについてくる。いま求められているのはこの仕組みを作り出すことなのだ。人材開発と組織開発の相乗効果を生み出し、グローバルでは戦えないという勘違いのマインドセットと沈滞ムードを一掃することなのだ。
私はGlobalでもLocalでも最高のパフォーマンスを発揮できる人材をGL型人材と呼んでいる。数千人、数万人の社員全員をGL型にする必要もないし、非現実的である。全社員の2%なのか10%なのかはその企業の事情による。
企業としてはまず社内の選りすぐりの人材をGL型に育成する決断をし、自社向けのカスタムプログラムを着実に実行していく。プログラムの実施形態は多種多様である。実施場所は国内、欧米、新興国どこでも可能である。講師陣も国籍も専門性もバラエティに富んでいる。ビジネススクール教授、コンサルタント、ファシリテーター、コーチ、スキル系トレーナーなど様々だ。
通常3年もすると明らかな変化が見えてくる。成功と失敗を繰り返しながら、組織と社員の間にグローバルで戦えるという自信が出てくるのだ。
ここではこれ以上詳しく述べるのはスペース的に難しいが、こんな事例を人材育成担当者で学びあう研究会を毎月一回開催している。
ご興味がある方はぜひご参加いただきたい。
https://www.hrpro.co.jp/seminar_detail.php?ccd=00571&pcd=10