2016年採用の学生の就活は、「後ろ倒し」の影響で例年よりも長期化してきている。街や電車でリクルートスーツに身を包んだ学生を良く見かけるが、汗ばむ陽気にスーツ姿で歩くのは、誰だって気が進まないものだ。
最近の学生は、まじめで学業にもクラブ・サークルなどの活動にも熱心だと言われる。個性豊かで、一人一人さまざまなことに打ち込んでいて、ファッションや持ち物でも個性を表現している。しかしこと就職活動となると、画一的で誰もが同じに見えてしまう。無個性なリクルートスーツを着込み、黒いバッグに黒い靴。「後ろ倒し」により、就職活動が春から真夏へとシフトしているにも関わらず、男性ならネクタイも着用だ。
かたや面接をする側の企業はクールビズで、ノーネクタイ、ノージャケット。半袖のシャツもOKだ。説明会や面接で企業に行く学生も、多様な学生の個性を見たいと思っている企業も、どちらも本音で言えば、「リクルートスーツでなくてもいいのでは?」と思っているのではないだろうか。
そんな企業の本音、学生の本音の想いに寄り添って、間に立って解決しようという動きがある。「就活クールビズ」と命名された活動だ。推進するのは、新卒ダイレクトリクルーティング「OfferBox」を運営する株式会社i-plugである。
「就活クールビズ」活動は、賛同する企業が「就活クールビズ(http://coolbiz.offerbox.jp/)」サイトに会社ロゴを掲載し、「就活クールビズ」が推奨する4つのスタイル「ノーネクタイ宣言」「ノージャケット宣言」「ビジカジ宣言」「私服宣言」のマークつけて宣言する、というもの。
「ノーネクタイ宣言」は男性でノーネクタイ、女性はインナーにカットソーを取り入れるなど。「ノージャケット宣言」は、ノーネクタイからジャケットを脱いだスタイル。「ビジカジ宣言」はジャケット+パンツ、半袖カッターシャツ+スカート/パンツ。「私服宣言」はポロシャツ+チノパンなどの私服でOK、ということを企業側が宣言する。就活生はこの宣言に応じて、自分の個性を発揮できる服装で説明会や面接に臨むことができる。
賛同企業は、宣言が開始された4月末時点で55社で、以降続々と増加している。宣言企業の1社、写真素材を提供するピクスタ株式会社では、「個性を押し出すことで、そこから生まれるクリエイティブな価値が評価される世界を作っていきたい」という思想で採用活動を行っており、「就活クールビズ」の理念に賛同した。同社では就活クールビズを支援する写真素材を無償で提供する協力もしている。
「HRプロ」を運営するProFutureも、もちろんこの活動に賛同。幅広い日本最大級の人事ネットワークに対して、学生の個性を生かした就活を訴求して、「就活クールビズ」を支援していく。
「就活クールビズ」スタイルで、就活生は個性を表現しながら真夏でもより快適に活動し、企業は学生の個性に触れて自社にマッチする学生との出会いを増やす。就活生と企業の両者がハッピーになれる「就活クールビズ」。これからの就活のあり方を大きく変えるムーブメントになりそうだ。