日本企業の人材・組織テーマのうち、最も重要なものの一つは、間違いなく「現場力の復活」です。現場力とは、特定のリーダーがメンバーを引っ張っていく組織ではなく、メンバーひとり一人が自発的に問題を発見し解決していく、つまり自分達のパフォーマンスを自分たちで高めていくという能力だといえます。今、多くの日本企業で現場力がメルトダウンしているという問題意識が強くなっています。
リクルートマネジメントソリューションズ「人材マネジメント実態調査」(2013年)でも、それを裏づける結果が出ています。
<ミドルの負担が過重になっている>(「よくあてはまる」「ややあてはまる」合計で90%)
<難しい仕事に挑戦する人が減っている>(同63%)
<従業員の自発的な活動が減っている>(同60%)
この問題の解決策といえば、「ミドルを鍛える」というところにいきがちです。しかし、ミドルの負担感を考えればもう一手欲しいところです。現場力はなかなか見えにくいため、まず診断してみることが大事です。診断項目は4つでしょう。
①チームの一体感はあるか?
②皆が成長実感をもてているか?
③先を読んで必要な手を打っているか?
④業務遂行力は高いか?
皆さんの職場はいかがでしょうか?より大事なのは②と③です。①と④は「今」のことですが、②と③は「未来」につながることだからです。
では②と③を高めていくために、何を始めるか?何をやめるか?これを職場の皆で考え、議論して決めます。推進リーダー役は、主任などの中堅層に任せるのが良いと思います。いうまでもなく、その際何よりも大事なのは、部長のオーナーシップです。
この活動は次のリーダー人材を発掘する良い手段にもなります。これからのリーダーは変化に柔軟で、多様性を活かせる人でなければ務まりません。そうした能力は、自分の仕事以外で、組織やチームに貢献するという機会によって開発されます。
日本企業には、現場が自律的に現場を強くする文化がずっと以前からありました。それをもう一度復活させるための地道な取り組みを今始めるかどうかで、何年か先に勝敗が決まってしまうのではないでしょうか。