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ワーキングマザーの“働く”を応援する制度づくり
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ワーキングマザーが働きやすい会社であるというイメージが社内に浸透していなかったD社は、産休に入る女性社員が急増したことをきっかけに、出産・育児などのライフイベントを迎える社員が会社に復帰しやすくなるよう、取り組みを開始しました。
在籍しているワーキングマザーやマネージャー職の社員に意見を聞くと、ワーキングマザーからは
- 働きたくても、保育園が見つからずに復帰が遅れてしまった
- 0歳児保育をお願いできる場所を見つけたが、保育料が思った以上に高く大変だった
- 子どもの急な病気と重要な会議のやりくりが大変だった
- もっと早く復帰したかった
など、「休ませてほしい」という意見よりも「働きたい」という意見が多く見られました。
加えて、マネージャー職の社員から「育休前に活躍していた社員を、育休後は戦力外と考えるのはおかしい」という声が多く寄せられたことから、休ませる・保護する方向の制度づくりではなく、“働く”を応援する制度をつくるべきだという結論にたどり着いたそうです。
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3カ月前倒しで職場復帰!
「ベビーシッター補助制度」「育休復職サポート手当て」
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「子どもがいても働きたい人を応援する」というコンセプトに基づいた施策を実施したところ、D社では産休・育休から職場復帰して活躍する社員が増加しました。その施策について、D社で活躍するワーキングマザーSさんの事例を交えてご紹介します。
まず、D社が導入したのは、子どもが病気になったとき、ベビーシッター費用の一部を支給・補助する「ベビーシッター補助制度」と、子どもが1歳6カ月になるまで保育料を補助する「育休復職サポート手当て」といった、育児をサポートし、早めの職場復帰を促す2つの制度です。
Sさんは、この制度が導入されたときのことをこう振り返ります。
「育休中に『ベビーシッター補助制度』ができたことを知り、それが『早く職場復帰してほしい』という会社からのメッセージだと感じられ、『復帰していいんだ!』と、とてもうれしく思いました。
もともとは子どもを区立保育園へ入園させる4月に職場復帰するつもりでしたが、この制度を知り『早く働きたい』と、3カ月前倒しの1月に復帰することにしました。
子どもの熱が37度5分を超えると保育園では預かってもらえませんが、都度会社を休むわけにもいかないため、急なときは会社が支援する病児のベビーシッターを重宝しています。
もしものときのセーフティーネットがあることで安心して働けますね。復帰直後は認可外の保育園に預けており、延長保育が難しかったので時短制度を活用していましたが、現在はフルタイムで仕事をしています」
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先輩ワーキングマザーによる「職場復帰」のワークショップ
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上記のような制度に加え、D社では産休前に必ず面談の場を設けて、先輩ワーキングマザーに自身の経験や知識を共有してもらい、復職に対する不安を解消できるようにしています。
また、育休中に一日中赤ちゃんと過ごしていた生活から、いきなり仕事モードに切り替えるのは簡単ではないので、復職予定の社員を対象にしたワークショップや、同時期に復職する社員や先輩ワーキングマザーとの懇親会も開催しているそうです。
「社内ではワーキングマザーが増えてきて、これから産休や育休に入るであろう若い女性社員にも、『産休・育休後も復職して頑張れる会社なんだ』という理解が少しずつ広がってきたと感じています。
また、当社が開催した女性向けのイベントでは、社長から『限られた時間でも構わないから、その中で100%の力を出してほしい』というメッセージを受け、『プライベートの状況に関わらずプロフェッショナルとして全力で働こう』と勇気づけられました」
そう話すSさんも、現在は先輩ワーキングマザーとして、ワークショップで後輩ワーキングマザーが復帰するためのサポートをしているそうです。
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ワーキングマザーを部下に持つマネージャーの不安も解消
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産休・育休からの職場復帰に不安を抱えるのは女性社員だけではありません。ワーキングマザーが配属される部署のマネージャーから、
「どこまで家庭のことに踏み込んでいいのか分からない」
「時短社員のマネジメント方法が分からない」
という声が上がりました。そこで、人事とマネージャー、復職する社員の三者面談を実施し、マネージャーは部署の状況や任せる業務内容を説明、復職する社員は子どもの状況を説明することにしました。これで、まずは信頼関係の構築に力を入れたのです。
また、時短社員を部下に持つマネージャーに対してもワークショップも開催し、不安を解消したことで、マネージャーとワーキングマザーがより良好な関係を築けるようになりました。
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まとめ
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産休や育休といった「休む」制度も大切ですが、企業が女性の活躍を推進するならば、D社のように「働きたい」という女性社員の意欲を応援できるような制度づくりも必要なのかもしれません。女性の活躍推進をお考えの企業はD社のようなワーキングマザーとワーキングマザーが所属する部署のマネージャーをサポートする制度の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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