日本だけではなく、世界でもそうだと思うのですが、センセーショナルな市場規模の伸び方をしないと、なかなか調査会社が調査をしてくれません。調査会社が調査をしてくれないと、客観的な市場データが存在しないため、憶測でいろいろな話が出てきます。その憶測で話をしている人が業界の重鎮だったりすると、鵜呑みにしてしまう人が増えたりすることもあります。ただ、どんなに重鎮でもせいぜい一人の人間が見ている範囲は局地的であり、客観的な数字ではありません。
国産開発言語のRubyもまさにそういう感じです。特にRubyは儲かっている会社とそうでない会社の差が激しいので、そうなりがちです。良く聞く言葉としては「Ruby?昔流行ったよね」、「Rubyは西日本側ではやっている技術ですよね」、「Rubyやるとビジネスが ガラパゴス化しそう」、「Rubyやったのに全然儲からないです」などなど、様々な意見がありますが、どれも正確ではないと思います。
そもそも日本と海外では、海外のほうがRuby市場が大きく、盛り上がっています。
米国では、Rubyの総求人数が1万6千件を超えています。(Indeed2014年12月)
これは日本の国内Ruby求人数4千件の4倍になります。(IndeedJapan2014年5月)
さらに、Ruby on Railsの米国エンジニアの平均年収が1300万円となり全プログラマー最高年収となりました。一方で日本のRuby on Railsプログラマーの平均年収は調査データによってまちまちですが、360万円~600万円のデータが出ています。求人が多いということは案件が多いことを指し、市場が大きいことを指しています。しかも、一番高い平均年収と言うことはそれだけ高い単価のビジネスができているということです。以上のことから日本よりも米国のほうがRuby市場は盛り上がっていることが言えます。
一方日本はどうかと言うと、2013年1月時点でRuby求人件数が2,895件だったのに対して、2014年5月には4,136件となり、1年半で143%増を記録しています(IndeedJapan2014年5月)。前述通り求人数が大きいことは市場が大きくなってきていることを指しています。
また、政府調査によるプログラマーの平均年収が400万円弱ですが、IndeedJapan2014年5月の集計値を見ると全体の18.9%が年収700 万円以上の求人となっています。これはかなり高額な部類であり、Ruby on Railsは日本でも米国でも高い単価でのビジネスが実現できていることの証明になると考えています。
最後にハイプカーブについて解説します。前述のようなRuby on Railsの市場に対する様々な感想が飛び交う背景に調査会社による市場データが存在していないからと言うのが大前提にありますが、もう一つ、たいがいの IT技術がハイプカーブに沿って市場が成長していくためというのがあります。
ハイプカーブとはハイプサイクルともいい1995年にガートナーが作り出した成長曲線であり、ほとんどの技術は以下の
曲線をたどり、成長していくとされています。最初に技術が世に見いだされ、これは凄いと盛り上がり「流行期」になり、盛り上がりすぎたため、そうでもないよねと「幻滅期」になり、その後見直され「回復期」となり「安定期」で安定成長していくとするものです。Rubyはちょうど回復期になろうとしている段階であり、以前のような大きな流行にはなっていませんが、
求人数が確実に増えている通り、回復してきているのです。
如何でしょうか?東京では空前のRubyエンジニア不足となり、今育成が急務状況になっています。個人的な予想では当面慢性的な人材不足が続くと思っています。理由はマイナス成長になる要素がないからです。
今後の人材育成、採用計画にご参考ください。