男性も、女性も、様々な場面で「差」がない状態。平等であることが大切なのだ!という考え方を定着させるために最近ではあらゆる労働市場で女性登用が進んでいます。
今年の世界経済フォーラム、2014年10月28日に発表された「世界男女平等ランキング」では、日本は142カ国中104位と、まだまだ先進国の中では低い順位。一方、1位アイスランド、2位フィンランド、3位ノルウェー、4位スウェーデン、5位デンマークと、北欧諸国は例年通りトップクラス。
では、どんな所で「差」がないのか、私が実際にデンマークでヒアリングしたお話しをちょっとだけ紹介したいと思います。
まず、「職業の選択」について。日本で男性しか就けない職業、女性しか就けない職業、というと思い当たるものがあるのではないでしょうか?身体の構造上、体力の問題や慣習などで「男性のみ」「女性のみ」という職業が現実に存在しています。
ある学校の先生に「デンマークは男女差がないと聞きますが、例えば男性にしかなれない職業があるのでは?」と伺うと、「例えば何が男性には出来て、女性には出来ないと思うのですか?」と苦笑されながら返されました。
煙突掃除とか?とび職とか?・・・うーん。考えてみると、「職務内容」としてみれば殆ど差はなさそうです。実際の現場としては、男性が多い、女性が多い、という比率差はあるようで、男性だから、女性だからという理由で「職につけない」という不平等はない、というのが実際のところです。
そして「働く意識」について。約60年昔、専業主婦が家庭を支え、夫は外で稼ぐスタイルが普通だった北欧も今では専業主婦、という存在が稀有になっています。
そう、誰でもが働くのが常識。銀行勤務、現在マネジャーをしながら、20歳、17歳、10歳の3人の子供を育てている42歳の女性にこんな話しを聞きました。
「専業主婦ってどう思いますか?子育て、自分でしたいなぁと思ったことは?」すると、彼女はこう言ったのです。
–「この国で専業主婦は、白い目で見られるわ。私個人の意見としては、子供は小さいときは長く自分で育てたいと思ったけれど、そういう慣習がないし。じゃ、働くことにマイナスイメージか、というと、そうではなくて、せっかく学校を卒業してるんだから、働かないともったいないでしょ。資格もあるし。あんなに勉強したんだから、活かさないと。働かない理由がないわ」
専業主婦が白い目で見られる環境・・・それが北欧には存在します。女性の自立・経済的な自立、そして税金を払う義務と権利、という考え方が、社会で当たり前になっているからこそ、このようなスタイルが確立されているのでしょう。
男女平等が進むには3つのポイントがあると言われています。「女性の意識改革」「男性の支援」「社会制度の整備」(小島ブンゴード孝子氏による)
北欧は所得税や約50%、消費税は25%と、高税で有名ですが、その分、「還元率」が約60%と言われるほど、自分の生活に戻ってきている感覚があるそうです。
日本で配偶者控除撤廃、各種税率アップなどが2015年には議論される予定。社会制度の整備を先に推し進めるのもいいのですが、誰でもが働ける環境を作り、根本的に労働に対する意識を変えることも地道に取り組む必要がありそうです。
あと10年もすれば、日本も必然的に男女平等ランキングはランクアップしそう。日本は日本らしい文化もあり、独自の男女平等の在り方が生まれてくると思います。
国内の労働力が低下するのは既に見えている未来なので、「職業選択の自由」と「働く意識」については、お題目ではなく、現実となっていく取り組みが実現するような社会づくりが必要になりそうです。