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上司と部下のコミュニケーションギャップ

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2014年09月19日

適切なマネジメントのために、上司-部下間のコミュニケーションが重要となるのはいうまでもない。
人事制度の視点から言えば、評価制度や目標管理制度をうまく機能させるには、綿密なコミュニケーションが不可欠となる。
評価者研修などでそういったことを確認してみると、ほとんどの上司はそのことを十分に認識しており、部下とのコミュニケーションを深めようと日々努力している。

しかしながら、その努力は上司が思っているほど実っていないようだ。
先日発表された日本生産性本部の第3回「職場のコミュニケーションに関する意識調査」でも、上司と部下との間のコミュニケーションギャップがあらためて浮き彫りになった。
結果の概要は以下のとおり。

1.課長・一般社員とも業務上のコミュニケーションは取れていると感じている
●課長の83%が「部下または後輩との業務上のコミュニケーションは取れている」と感じている
●一般社員の73%が「上司との業務上のコミュニケーションは取れている」と感じている

2.課長と一般社員の間で認識のギャップが生じている
●課長の66%が「職場で有益な情報が共有されている」と感じているが、一般社員がそう感じているのは48%
●課長の85%が「部下または後輩が相談をもちかけてくる」が、一般社員が「上司によく相談する」のは59%
●課長の87%が「部下の話をじっくり聴く方だ」と思っているが、一般社員がそう感じているのは72%
●課長の78%が「部下を褒めている」が、一般社員が「上司は褒める方だ」と感じているのは49%

この結果からわかるのは、ある程度のコミュニケーションは取れているものの、上司に比べて部下の方では満足のいくレベルに達していないということだ。
いくつかの会社で同様のテーマでアンケートを取ったり、調査結果を確認したりしたことがあるが、やはり同じ傾向が見られた。厳しい言い方をすれば、上司のコミュニケーションは自己満足に陥っているのだ。

コミュニケーションの主要な目的には、①人間関係の構築と円滑化、②情報の提供、③相手の行動喚起、の3つがある。
注意しなければならないのは、これらの目的を達成できるかどうかは、すべて相手次第ということだ。つまり、コミュニケーションの効果は、送り手ではなく受け取る側に決定権があるということである。上司としては、十分にコミュニケーションを取っているつもりでも、それが有効かどうかは部下に委ねられているのである。

見方を換えると、コミュニケーションにおいては、自分の意図は完全には伝わらないことを念頭に置くべきともいえる。しっかりと伝えたいならば、それなりの時間や工夫が求められる。
といっても、多忙の中、部下とのコミュニケーションばかりに時間を費やしているわけにもいかない。そこはやはりポイントを絞る必要がある。どうしても伝えたいこと、理解してもらいたいこと、行動してもらいたいことには、これまで以上に丁寧なコミュニケーションを心がけるべきだろう。

特に重要となる事項は、可能な限り口頭でのコミュニケーションによるのが賢明である。それも、相手の表情がわかる面と向かっての対話が一番だ。そして、どれだけ理解し、納得してもらえたかを相手の言葉で確認すべきである。
このとき、「わかったか?」「はい、わかりました」では確認とならない。「誰が、何を、いつまでに、どのようにするのか」が、自分の意向と合致しているかを確実にチェックしておきたい。

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