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目標管理とモチベーション

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2014年06月06日

目標管理には、いろいろな目的がある。最終的な目的は組織業績の向上にあるが、社員のモチベーションを高めるのも大きな目的の1つである。

目標管理が社員のモチベーションの源泉となることを示したのが、ロックとレイサムという心理学者が提唱した目標設定理論である。目標管理といえばドラッカーが思い浮かぶが、彼の理論の根拠となっているのがこの目標設定理論といわれている。

目標設定理論によれば、モチベーションを高められるのは目標の設定の仕方にあるという。ポイントとなるのは、①困難な目標を立てること、②明瞭な目標を立てること、③目標設定に参加すること、の3つである。

①の困難な目標がモチベーション要因となるのは、挑戦しがいのある目標の方がやり遂げたときの達成感が大きいからである。ただ、これは本人の自己効力感の高低に左右される。

自己効力感とは、自分なら達成できるという確信を持つことで、自己効力感の高い社員はチャレンジングな目標を掲げるため、モチベーションを保ちやすく、逆に、自己効力感の低い社員は容易な目標を設定し、モチベーションも低くなってしまう。

目標管理が機能していない組織の典型的な症例は、社員が簡単な目標しか設定しないというものである。これは仕組みの問題もあるが、社員の自己効力感を高めることも大きな課題となる。

②の目標の明瞭さがモチベーション要因となるのは、具体的に立てた方が達成状況をより明確にイメージでき、達成に至る手段やプロセスも明瞭になるからである。また、達成したときに顧客や関係者にどのような満足を与えられるか、どのような賞賛を得られるかなどをリアルに想像できる点も指摘できる。

ところが、これも実際には、あいまいな目標が随分と見られ、しかも毎年同じような目標であったりするケースも多い。本来は上司がそれを指導すべきなのだが、フリーパス状態となっている。そもそも上司の目標自体が漠然としているのだから、指導など期待できないというべきか。

③の目標設定への参加は、目標に対するコミットメントの大きさに関わってくるということだ。人から与えられた目標よりも、自分が関与したもののほうが、達成に向けての責任感は増すことは明らかである。

だからといって、すべて丸投げにしてしまうのは問題で、上司あるいはリーダーとして、部下に設定してもらう目標の方向付けは必要となる。 組織目標との連鎖が求められるし、また、そこにリンクさせることで組織貢献というモチベーション要因にもなるからだ。

上記の①~③は、いずれも目標設定の際の基本のセオリーなのだが、なかなか実践できていないことが多い。目標管理に本気で取り組んでおらず、制度が形骸化してしまっているのだ。

目標管理に対して、モチベーションの源泉という本来の目的を取り戻すには、①~③を改めて確認する必要がある。

このうち②と③は、本人と上司とのコミュニケーションを密にすることが基本であり、その前提として、目標管理制度に対する理解や意識を高めておくことが必要となる。

①の自己効力感を高めるためには、いくつかの手法があるが、目標管理との関連では「達成体験」と「言語的説得」とが重要となる。

「達成体験」とは、まずは目標を達成することでその喜びを味わってもらい、自信をつけてもらうことである。

具体的には、”少し難しい目標”の達成に向けて、上司が必要な支援をしていく。「今回も達成できなかった⇒次回もどうせダメだろう⇒やる気が起こらない⇒やっぱり達成できなかった」という悪循環から、「今回は達成できた⇒頑張れが何とかなる⇒やる気が起きる⇒また達成できた!」という好循環に変えるのである。

「言語的説得」とは、「君には能力がある」とか「やればできるじゃないか」というように上司から繰り返し激励の言葉をかけることだ。人間そのように言われれば、ヤル気は出てこよう。

単に目標を掲げればモチベーションが高まるものではない。目標管理においては上司やリーダーの果たす役割も非常に大きいのである。

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