精神障害者主体の事業部で「成果」を出した取り組み事例
松為氏に続き、綜合キャリアトラストの障害者雇用に関する取り組みについてショートプレゼンを行ったのが宮林氏だ。人材サービス会社「綜合キャリアオプション」の特例子会社として2012年に設立された同社は、従業員数73名(2013年4月現在)のうち障害者が45名と、実に6割以上。内訳は精神障害者が33名、知的障害者が2名、身体障害者が10名で、精神障害者が中心になっている。障害者主体のCVT(Create Value Team)事業部では、それまで正社員・契約社員が行っていたデータ入力、書類の出力・封入・発送などのグループ社内業務を切り出し、障害者向けにマニュアル化することにより、同等の作業水準を実現。コスト効率を高め、現在では外部受託業務も行っている。このように成果を出せる障害者雇用・活用の仕組みを構築しているポイントは何か。宮林氏は次のように述べる。「立ち上げ当初から、精神障害者を中心に採用を進める方針を固めた。そのうえで、日常の行動の部分から教育することで精神障害者の職場定着を図り、戦力化していけると考え、研修を充実させている。会社に貢献し、戦力になっていると本人が実感できるような業務環境を整備していることも、当社の取り組みの特徴だ。たとえば、チーム制を取って、成果をチーム内で発表し合い、チームで目標を達成したときに喜びを分かちあう職場作りを行っている」。
また、こうした取り組みを通じて培ったノウハウをもとに、同社では各地で就労支援センターを運営。就職を希望する障害者を対象とした研修、就職活動支援、就労後の職場定着支援などを行っている。さらに、企業の障害者雇用サポートとして、採用支援、定着支援をはじめとするさまざまなサービスも提供している。宮林氏は「障害者雇用は、従来、福祉の文脈で語られることが多かったが、当社は障害者をどのように企業の戦力にしていくかという視点からサポートを行っている」と述べた。