楽天「みんなの就職活動日記」会員を対象に実施した、3月末時点での調査結果の報告2回目。今回は、プレエントリーやセミナーの参加状況、面接、内定の状況について見てみたい。参考までに昨年との比較データも掲載するが、昨年データは4月第2週時点でのものになるため、調査時期としては今年のものと比べると2週間のズレがあることをお断りしておく。

昨年よりプレエントリー数が減少している文系学生

まずは文系のプレエントリー社数の状況から見てみよう。グラフは、昨年のデータと比べられるようにしてある。最多区分は「21~40社」であることは昨年と変わりはないが、その割合は昨年の26%から32%へと6ポイント増えている。このほか、「41~60社」が昨年19%→23%、「1~20社」が同23%→25%へと、比較的少ない社数区分の割合がいずれも増えている。一方、「61~80社」は同15%→8%とほぼ半減しているのをはじめ、「81~100社」「101社以上」の区分もともに減少している。
調査時期に2週間のズレがあるとはいえ、4月の上旬に大量のプレエントリーをすることは考えにくく、今年の文系学生のプレエントリー数は昨年と比較すると減少していると考えて間違いなさそうである。
企業側の調査でも、昨年対比でプレエントリー数が減少している企業が3割以上あったことと合致している。

[図表1:プレエントリー社数(文系)]

「2017年卒就職活動動向調査」結果【2】

文系ほどの違いが見られない理系学生のプレエントリー数

理系のほうはどうであろうか。こちらも昨年のデータと並べてみると、文系と異なり、昨年データとの差異は小さい。最多区分は文系よりも少ない「1~20社」となっており、昨年の43%から46%へと3ポイント増えている。「0社」とする学生も同1%から3%へと微増しており、その分「21社」以上の区分の割合が減少している。理系においてもプレエントリー社数はやや減少傾向にあるようだが、文系ほどの差はない。

[図表2:プレエントリー社数(理系)]

「2017年卒就職活動動向調査」結果【2】

文系では依然として「マイナビ」強し

就職ナビの活用状況についても、文系・理系別に確認しておく。まずは文系学生に対して、活用している就職ナビ(逆求人型含む)を複数選択で回答してもらった。今年も「マイナビ」95%、「リクナビ」93%と、2強の強さが目を引く。昨年までの「日経就職ナビ」から新しくなったディスコの「キャリタス就活」が62%と、土屋太鳳さんをイメージキャラクターとして展開した広報活動のかいもあって、初年度としては十分健闘している。昨年「日経就職ナビ」は73%だったことを考えると、「日経」ブランドが強かったことは否定できないものの、サイト名が学生にもっと浸透していけば、来年以降さらに活用学生は増えるものと推測される。
また、「JOBRASS」(20%)、「Offer Box」(12%)といった逆求人型サイトが、「ブンナビ!」など一部の就職ナビ以上に活用されている点も注目したい。逆求人型サイトは今後ますます伸びていくものと思われる。

[図表3:活用している就職ナビ(文系/複数選択)]

「2017年卒就職活動動向調査」結果【2】

今度は「最も活用している就職ナビ」を1つだけ選択してもらったデータがこちらである。2強となっている「マイナビ」「リクナビ」のパワーバランスの変遷を確認できるように、過去4年間のデータを一覧にしてみた。2015卒採用までは「リクナビ」が「マイナビ」をリードしていたが、昨年初めて「マイナビ」が「リクナビ」を逆転した。今年は「リクナビ」が掲載社数を大きく伸ばしたこともあり、昨年17ポイントもあった「マイナビ」とのポイント差はわずか4ポイントへと大きく減少している。
ちなみに、2016年5月6日現在の掲載社数は、「リクナビ」2万3312社、「マイナビ」1万8013社。

[図表4:最も活用している就職ナビ(文系/単一選択)]

「2017年卒就職活動動向調査」結果【2】

理系では「リクナビ」が「マイナビ」を再逆転

理系学生が活用している就職ナビ(複数選択)では、「マイナビ」「リクナビ」ともに92%で並んだ。「キャリタス就活」は、昨年の「日経就職ナビ」54%から9ポイントの減少とはなっているものの、その他の就職ナビには大きく水をあけている。
文系同様、「JOBRASS」(14%)、「Offer Box」(10%)といった逆求人型サイトがポジションを上げてきている。

[図表5:活用している就職ナビ(理系/複数選択)]

「2017年卒就職活動動向調査」結果【2】

複数選択での回答では全く同じポイントとなった「マイナビ」と「リクナビ」だが、択一式で「最も活用している就職ナビ」を選択してもらったところ、「リクナビ」47%、「マイナビ」42%で、「リクナビ」が1年で「マイナビ」を再逆転している。もともと「リクナビ」は理系での強さが目立っており、2015卒採用では「マイナビ」と33ポイントもの開きがあった。「マイナビ」が2018卒採用でどう盛り返してくるのか注目したい。

[図表6:最も活用している就職ナビ(理系/単一選択)]

「2017年卒就職活動動向調査」結果【2】

学内企業セミナーへの参加動向は依然として堅調

次に、大学主催の学内企業セミナーへの参加状況を見てみよう。文系では、昨年とほとんど変わらない参加状況ではあるが、「0回」の学生が昨年よりも微減となっている。

[図表7:学内企業セミナー参加回数(文系)]

「2017年卒就職活動動向調査」結果【2】

理系では、「10回以上」の学生が7%から12%へと5ポイントも増えていることに注目したい。「0回」という学生は文系同様に14%にとどまる。逆にいえば、86%の学生は学内企業セミナーに最低1回は参加しているということであり、学内企業セミナーの有効性は変わらないようである。

[図表8:学内企業セミナー参加回数(理系)]

「2017年卒就職活動動向調査」結果【2】

文系では合同企業セミナーへの参加が増える

就職ナビ会社等が主催する合同企業セミナーへの参加回数を聞いてみた。文系では、昨年は「2回」が20%で最多だったが、今年は「3回」が19%で最多だったほか、「0~2回」の割合が減少して「3~6回」の割合が増えるなど、序盤戦での合同企業セミナーへの参加は、昨年よりも活発に行われた模様である。
ただし、4月以降は個別企業のセミナーや選考が増えてきたため、合同企業セミナーへの参加者は激減している。

[図表9:合同企業セミナーへの参加回数(文系)]

「2017年卒就職活動動向調査」結果【2】

理系では合同企業セミナーへの参加は文系ほどの伸びはない

次に理系のデータを見てみると、今年も昨年同様「0回」の学生が最多となっているほか、「10回以上」の割合は微増しているものの、「4~5回」は昨年よりも減少しているなど、必ずしも増加傾向とはいえないようである。
学内企業セミナーに参加していない学生が15%だったのに対して、マスの合同企業セミナーでは倍近い28%もの学生が「0回」と回答しており、学内企業セミナーの方を重視していることがわかる。

[図表10:合同企業セミナーへの参加回数(理系)]

「2017年卒就職活動動向調査」結果【2】

文系では個別企業セミナーへの参加も増える

企業が個別に開催する会社説明会やセミナーへの参加状況を見てみよう。文系では、昨年と比べて「2社以下」の割合が減って、「4~9社」が増えている。最多は「4~6社」で昨年の25%から5ポイント伸びて30%となっている。
「30社以上」の割合が微減しているものの、全体的には参加社数はわずかに伸びていると考えてよさそうである。

[図表11:個別企業セミナーへの参加社数(文系)]

「2017年卒就職活動動向調査」結果【2】

理系も個別企業セミナーへの参加は増加傾向

文系以上に参加社数が増加傾向であることが分かりやすいのが理系である。最多は文系同様の「4~6社」の33%で昨年よりも3ポイント伸びているほか、「10~14社」で昨年よりも5ポイント伸びる一方、減少しているのは「1社」や「3社」といった少ない社数区分に集中している。合同企業セミナーでは伸びが確認できなかったり系であるが、学内企業セミナーからの誘導が伸びたのか、個別企業のセミナーへの参加は増加傾向にある。

[図表12:個別企業セミナーへの参加社数(理系)]

「2017年卒就職活動動向調査」結果【2】

昨年と比べて大きな伸びのない面接社数

次に面接選考の状況を見てみよう。経団連の面接選考解禁日が2カ月前倒しとなったことを受けて、各企業の採用選考スケジュールも前倒しとなる企業が少なくないと思われるが、採用広報解禁から1カ月弱の3月末の段階では、まだ面接選考に進んでいない文系学生も4割以上いる。「7社以上」で面接している学生は昨年よりも微減しているなど、面接社数には大きな変化は見られない。

[図表13:面接選考社数(文系)]

「2017年卒就職活動動向調査」結果【2】

理系では面接未体験の学生が増える

理系学生を見てみると、面接社数が「0社」という学生が昨年の47%から53%へ6ポイント伸びている。冒頭に断わったように、昨年と比べると調査時期が2週間早くなっており、まだ面接を体験していない学生が増えてもおかしくはないところではあるが、過半数の学生が「0社」とは意外な結果といえるのではないだろうか。

[図表14:面接選考社数(理系)]

「2017年卒就職活動動向調査」結果【2】

早慶クラス文系で内定率23%

最後は、いよいよ内定取得状況を見てみる。ここでは内定取得が進んでいる「早慶クラス」と「中堅私大クラス」で比べてみよう。
まずは文系であるが、1社でも内定を取得している学生は、「早慶クラス」で23%なのに対して、「中堅私大クラス」では7%にとどまる。内定取得者の割合が高い「早慶クラス」といえども、内定社数では「1社」が大半である。ただ、中には「10社以上」という猛者が3%もいるのには驚く。

[図表15:内定社数比較(文系)]

「2017年卒就職活動動向調査」結果【2】

早慶クラス理系で内定率18%

理系も同様に「早慶クラス」と「中堅私大クラス」で比べてみる。最も進んでいる「早慶クラス」ですら、内定取得者はまだ2割に満たない。
内定を取得した時期も聞いているが、「3月」との回答が66%で圧倒的に多く、次いで「2月」が26%を占めている。文系では、「3月」は53%にとどまるほか、昨年の6月以降かなり分散した時期に内定を取得している。

[図表16:内定社数比較(理系)]

「2017年卒就職活動動向調査」結果【2】

【調査概要】

調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査協力:楽天「みんなの就職活動日記」
調査対象:2017年卒の大学生・大学院生
調査方法:webアンケート
調査期間:2016年3月22日~3月30日
有効回答:990名(文系:628名,理系:362名)

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